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...... 2023年09月29日 の日記 ......
■ 超短編小説「猫角家の人々」その37   [ NO. 2023092905-1 ]
超短編小説「猫角家の人々」その37
ジャンキーたちは、裏社会組織に入会する際に「入会すれば、何故、シャブをやっても捕まらないか?」を組織から懇切丁寧に説明される。その説明から、日本の本当の支配構造を知る。「こりゃ、絶対、捕まらないや。」そして、100%の自信を持って、悪事に励むようになるのだ。絶対権力。未来永劫、失権することの無い、間違いない権力。その末端の席に自分が座ることで、薬物はやり放題、汚い金は掴み放題の世界にどっぷり浸ることができる。居心地の良い悪の殿堂である。介護現場の3K職場で月15万円の薄給のために働かないでいい。高飛車なパワハラ上司にペコペコしないでいい。昼まで寝て、楽をして、毎日、クスリで夢見心地でいられる。今まで、自分を思いっきり馬鹿にした連中を、上から目線で蔑視することができる。これは、快感だ。

最初は誰もがそう思う。裏社会の「給与」も、最初はふんだんに支給される。だが、この桃源郷に長く生息するには、それなりの仕事をこなさなければならない。上から与えられるテーマを果たさなければ、美味しいオクスリもあぶく銭も回してはもらえない。その一方で、上層部の覚えめでたい構成員には、破格の待遇が与えられる。組織は、構成員同士の「競争」を煽り、功を競わせる。戦国時代の雑兵の使い方のようなものだ。自分の信条とは無関係に、与えられた攻撃目標に向かって、罵詈雑言を浴びせかける。これも、シャブを手に入れるためだ。

シャブが自由に手に入ると、消費量も倍増する。期間が長くなると、シャブの効きが悪くなってくる。一回の使用量が増えてくる。副作用が急激に進む。歯がボロボロになるくらいなら、まだ、何とか対処の方法がある。個人差はあるが、突如、全身の激痛に襲われることがある。仰向けに倒れ、体をのけぞらせて、痛みに耐える。いつ、発作はやってくるかわからない。これが耐え難い苦しみとなる。だが、シャブは止められない。発作に怯えながら、二の腕にシャブの注射針を突き刺す毎日だ。人前で発作が出たらまずい。外に出るのが、人と会うのが苦痛になってくる。

シャブ中は、一種独特の体臭を放つ。臭いにおいの場合もあれば、甘い匂いの場合もある。臭いでシャブ中を察知されるのを恐れて、大の男が香水を使ったりする。もしくは、臭いをかがれることを恐れて、人に近づくことを忌避する。少し離れた場所から会話をしようとする。

中毒が進んでくると、酷い猜疑心に襲われる。被害妄想の塊となって、周囲に当たり散らす。皮膚にも異常が出てくる。黒い斑点。面相が全く変わってくる。シャブ顔。お笑いの代田というジャンキーの顔かたちの変化が、その見本である。食欲がなくなる。一日中何も食べなくてもお腹が減らない。半端なく痩せる。急激に痩せるので、皮膚が余って、全身のあちこちに皮膚のエプロンがぶら下がる。

シャブ中の「最期」は、一般的には「死」である。打ち過ぎ、つまり、オーバードースで、ジャンキーは簡単に死ぬ。男とラブホテルで一夜を過ごし、シャブで盛り上がった翌朝、38歳の女はベッドの上で冷たくなっている。そういえば、バンコクで死んだ台湾人の有名歌手もそんな死に方だった。

一緒にシャブを打っていた友人が、突如、取り乱し、暴れ狂う。自分もシャブを打っていたので助けをを求めにも行けず様子を見ていた。気が付いたら、友人は、目を開けたまま息を引き取っていた。

被害妄想。警察に見張られているという幻想。恐怖に駆られて逃げまどい、車道に飛び出してしまって車にひかれ死亡。シャブで自信過剰になり、何でもできると思い込んでしまう。高いところから飛び立てると錯覚して、飛び降り。シャブ中は、結局は自分をすり減らして、自分を地獄に誘う結果となる。それ以外の選択肢はない。シャブ中に幸福などありえない。(続く)観音懺法

我昔所造諸悪業 皆由無始貪瞋痴 従身語意之所生 一切我今皆懺悔

無上甚深微妙法 百千万劫難遭遇我今見聞得受持 願解如来真実義

世尊妙相具 我今重問彼 仏子何因縁 名為観世音
具足妙相尊 偈答無尽意 汝聴観音行 善応諸方所
弘誓深如海 歴劫不思議 侍多千億仏 発大清浄願
我為汝略説 聞名及見身 心念不空過 能滅諸有苦
仮使興害意 推落大火坑 念彼観音力 火坑変成池
或漂流巨海 龍魚諸鬼難 念彼観音力 波浪不能没
或在須弥峯 為人所推堕 念彼観音力 如日虚空住
或被悪人逐 堕落金剛山 念彼観音力 不能損一毛
或値怨賊繞 各執刀加害 念彼観音力 咸即起慈心
或遭王難苦 臨刑欲寿終 念彼観音力 刀尋段段壊
或囚禁枷鎖 手足被杻械 念彼観音力 釈然得解脱
呪詛諸毒薬 所欲害身者 念彼観音力 還著於本人
或遇悪羅刹 毒龍諸鬼等 念彼観音力 時悉不敢害
若悪獣圍繞 利牙爪可怖 念彼観音力 疾走無辺方
玩蛇及蝮蠍 気毒煙火燃 念彼観音力 尋声自回去
雲雷鼓掣電 降雹澍大雨 念彼観音力 応時得消散
衆生被困厄 無量苦逼身 観音妙智力 能救世間苦
具足神通力 広修智方便 十方諸国土 無刹不現身
種種諸悪趣 地獄鬼畜生 生老病死苦 以漸悉令滅
真観清浄観 広大智慧観 悲観及慈観 浄願常譫仰
無垢清浄光 慧日破諸闇 能伏災風火 普明照世間
悲体戒雷震 慈意妙大雲 澍甘露法雨 滅除煩悩燄
諍訟経官処 怖畏軍陣中 念彼観音力 衆怨悉退散
妙音観世音 梵音海潮音 勝彼世間音 是故須常念
念念勿生疑 観世音浄聖 於苦悩死厄 能為作依怙
具一切功徳 慈眼視衆生 福聚海無量 是故応頂礼
爾時 持地菩薩 即従座起 前白仏言
世尊 若有衆生 聞是観世音菩薩品 自在之業 普門示現 神通力者 当知是人 功徳不少
仏説是普門品時 衆中八万四千衆生 皆発無等等 阿耨多羅三藐三菩提心

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